帳簿のつけ方の基本と実務

目次

単式簿記と複式簿記の違い・初心者でも失敗しない選び方


はじめに

前回の「青色申告承認申請書の出し方」では、青色申告を始めるための手続きを解説しました。
青色申告の承認を受けたら、次に必要になるのが 帳簿の作成(記帳) です。

とはいえ、

  • 帳簿って難しそう
  • 簿記なんて勉強したことがない
  • 単式・複式の違いが分からない

と不安に感じる方も多いでしょう。

結論から言うと、会計ソフトを使えば、簿記の知識がなくても問題ありません。
この記事では、帳簿の基本から、単式簿記と複式簿記の違い、会計ソフトを使った実務的な運用方法まで、初心者向けに整理します。


まず結論|最短で失敗しない帳簿の始め方

時間がない方は、まずここだけ押さえてください。

結論まとめ

  • 青色申告で55万円・65万円控除を狙う → 複式簿記が必須
  • 65万円控除 → 複式簿記+e-Tax申告または電子帳簿保存
  • 会計ソフトを使えば、簿記の知識は不要
  • 週1回の記帳を習慣化するのが最重要

今日やること(最短ルート)

  1. 事業用の銀行口座・クレジットカードを分ける
  2. 会計ソフトの無料お試しを使ってみる
  3. 取引を週1回入力する
  4. 月末に通帳残高と帳簿を確認する

この流れで進めれば、帳簿でつまずく可能性はかなり下がります。


帳簿とは何か

帳簿とは、事業に関するお金の動きを記録したものです。
確定申告のためだけでなく、事業を把握するための重要な資料でもあります。

帳簿の主な役割

  1. 確定申告のため
    • 所得(収入 − 経費)を正確に計算
    • 申告書作成の基礎資料になる
  2. 事業状況の把握
    • 売上・経費の推移が分かる
    • 資金繰りや利益を確認できる
  3. 税務調査への備え
    • 帳簿と領収書・請求書の整合性が確認される
    • 正確な帳簿があるほど説明がしやすい

帳簿は誰が作る?

自分で作る場合

  • 会計ソフトで自分で記帳
  • 費用を抑えられる
  • 事業の数字を把握しやすい

税理士に依頼する場合

  • 正確性が高い
  • 記帳や申告の負担が減る
  • 費用がかかる(依頼内容・地域で差あり)

どちらがよい?

  • 事業初期・取引が少ない → まずは自分で記帳
  • 取引が増えてきた → 税理士依頼を検討

最初から完璧を目指す必要はありません。


単式簿記と複式簿記の違い

比較表

項目単式簿記複式簿記
記帳方法収入・支出を片側で記録借方・貸方の両面で記録
難易度低い高そうだが会計ソフトで解決
青色申告控除最大10万円最大55万円/65万円
向いている人白色申告・簡易管理青色申告・本格運用

あなたはどっち?(簡単診断)

  • 青色申告で55万円・65万円控除を受けたい → 複式簿記
  • 会計ソフトを使う予定 → 複式簿記
  • 白色申告で最低限の記帳 → 単式簿記でも可

👉 会計ソフトを使うなら、最初から複式簿記の方が楽です。


複式簿記は難しくない(会計ソフト前提)

手書きの場合(イメージ)

  • 借方・貸方を理解する必要あり
  • 初心者にはハードルが高い

会計ソフトの場合

  • 日付・金額・内容を入力するだけ
  • 自動で複式簿記の仕訳に変換

👉 簿記の知識がなくても問題ありません。


帳簿に記載する基本項目

  • 取引日
  • 取引内容(摘要)
  • 金額(税込)
  • 支払方法(現金・振込・カード等)
  • 勘定科目(会計ソフトが推定)

記載のコツ

  • 「何の取引か」が第三者に分かるように書く
  • 領収書・請求書と対応させる

会計ソフトを使った記帳のすすめ

主なクラウド会計ソフト

ソフト名特徴向いている人
freee操作が直感的簿記未経験
マネーフォワード機能が豊富慣れてきた人
やよいの青色申告サポート充実初心者・初年度無料

会計ソフトのメリット

  • 銀行・カード明細の自動取得
  • 勘定科目の自動推定
  • 確定申告書の自動作成
  • レシート撮影で記帳

注意点

  • 完全自動ではない(必ず確認)
  • 初期設定に少し時間がかかる

記帳の頻度と習慣化

頻度評価
毎日理想
週1回現実的・おすすめ
月1回最低限
年1回非推奨

習慣化のコツ

  • 毎週同じ曜日に記帳
  • スマホアプリを活用
  • 領収書は月ごとに整理

よくあるつまずきポイント

  • 勘定科目が分からない → 推定でOK、後から修正
  • 入金が翌月 → 売掛金で管理
  • クレカ払い → 利用日で記帳、後日引き落とし
  • Amazon・サブスク → 内容が分かる摘要を残す

帳簿と証拠書類の保存義務

保存期間(青色申告)

  • 帳簿:7年
  • 領収書・請求書:5年または7年(控除区分による)

保存方法

  • 紙で保管
  • 電子帳簿保存(要件あり)

👉 帳簿だけでなく 証拠書類とセット が重要です。


記帳を始める前の準備チェック

  • 会計ソフトを決めた
  • 事業用口座・カードを分けた
  • 領収書の保管方法を決めた
  • 記帳の頻度を決めた

おわりに

帳簿は「確定申告のための義務」ではなく、
事業を守るための道具です。

最初から完璧を目指す必要はありません。

  • まずは記録を残す
  • 会計ソフトに任せる
  • 分からなければ相談する

続けていれば、必ず慣れます。

次回は、**実際の仕訳例(売上・経費・カード払い)**を使って、さらに具体的に解説していきます。

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